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石見銀山の自然史

ミュージアムライブラリー

書庫には、石見銀山の解説資料等を掲載しています。

■石見銀山の町並みにみる地域の自然史(2)

現地調達できた石材

温泉津から大森にかけての地域には福光石以外にも凝灰岩を採石した小規模な石切場が多く残されています。
山中や海岸でみられるほか、町の中にも石を切り出した痕跡が残されていて、石切場を整地して家屋を建てたとみられる場所もあります。 そこから切り出した石は、石垣や家屋の土台石などに利用されています。きっちりと四角くそろえた石を使った町割りは、整然とした印象を与えます。利用しやすい凝灰岩を現地調達できたことは、石見銀山の町並みの景観形成に深い関わりがあったのです。

鞆、沖泊、温泉津の港には、岩盤を直接加工して削り出した「鼻ぐり岩」「臼岩」と呼ばれる船舶繋留用の輪や柱があります。海岸部に柔らかく均質な凝灰岩が分布していたことで、このような施設を作ることが可能だったのです。

また、用途に応じて、近隣で調達できる様々な石を使い分けています。
例えば、銀山川にかかるアーチ橋や清水谷精錬所には要害山などで採れるデイサイト(大江高山火山群の溶岩)が使われています。この石は切石に使われる凝灰岩よりも固く、強度が必要とされる場合に使われています。 鉱石を砕くために使った「要石」には、さらに固い安山岩質の岩石が多く使われています、この石は大田市川合町から大森町付近にかけて分布しています。

代官所前広場

代官所前広場に立つ西南役戦没者慰霊碑の土台となっている岩盤にも石を切り出した痕跡が残る。


熊谷家脇路地

切石を積んだ石垣。熊谷家住宅脇の路地。

赤瓦の屋根

石見地方の古い町並は赤瓦の屋根が特徴です。
大森、温泉津も家屋の屋根は大半が赤瓦です。石見瓦と呼ばれるこの瓦の主産地のひとつが、石見銀山に南接する水上町。ここでは粘土が採掘され、古くから窯業が盛んでした。温泉津も窯業が盛んな地域です。

瓦などの陶器に使われる粘土は200〜100万年前に海岸近くで堆積した「都野津層」という地層に含まれます。
この地層は島根県西部に広く断続的に分布し、江津、益田などでも陶土として使われています。大森や温泉津の町並みを象徴する赤瓦の色は、宍道湖の南岸に分布する「来待石」を用いた釉薬が発する色です。
瓦産業は石見地方の代表的な産業のひとつで、石州瓦は全国屈指のシェアを誇ります。

登り窯

水上町で近年まで使われていた瓦用の登り窯。

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