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石見銀山の自然史

ミュージアムライブラリー

書庫には、石見銀山の解説資料等を掲載しています。

■石見銀山の銀鉱床 〜仙ノ山で銀が採れた理由〜(3)

鉱床の形成

石見銀山の鉱床は、仙ノ山形成後に生じた熱水活動によって形成されたものです。鉱床の形成は、仙ノ山の形成より少し新しく、140万年前頃と見積もられています。山体の形成後、地下にマグマの貫入があり、その熱によって熱水活動が起こりました。当時の仙ノ山は山体から高温泉と水蒸気を激しく噴出していたと想像されます。


熱水はマグマ起源の「マグマ水」と地表から浸透した地下水が起源です。マグマは冷却の過程で水を放出します。これがマグマ水です。この中にはマグマに含まれていた成分のうち、鉱物として結晶化せずに残ったものが含まれています。そこには金銀銅なども含まれます。


また、マグマの熱で高温に加熱された地下水が周辺の岩石と反応して、水に岩石の成分が溶け込むこともあると考えられています。このようにしてできた鉱物成分を含む熱水は「鉱液」と呼ばれます。この水が熱水鉱床を形成します。


鉱液となった熱水は、圧力によって上昇し、岩盤の割れ目を伝わって地表近くに達しました。地表に近づくと圧力が低下し、それに伴って熱水の温度も低下します。すると、溶け込んでいた成分の沈殿が生じ、沈殿物が岩盤の割れ目を充填して鉱脈が形成されるのです。山頂近くでは、がさがさの火砕岩の中に鉱液が広がり、鉱染型の福石鉱床が出来ました。また、地表近くでは自然銀の沈殿も生じました。自然銀の沈殿には地下に染み込んだ雨水が影響していると考えられています。


石見銀山と周辺の地質

石見銀山の周辺には大江高山火山群の噴出物が分布し、その下位には「都野津層群」が分布します。都野津層群は鮮新世末から更新世に海岸付近で形成された地層で、当地付近から西の島根県に広く断続的に分布し、赤い色が特徴の石州瓦の陶土を産することでも知られます。


都野津層の下位には、中新統の火山岩と火砕岩類、堆積岩類が分布しています。この火山岩と火砕岩類は、日本海形成期にその海底で生じた火山活動によって形成されたもので、「グリーンタフ層」に属します。この地層は金属・非金属資源に富む地層で、当地の周辺には石見鉱山、松代鉱山などの黒鉱鉱床が存在しています。当地は黒鉱鉱床の分布西限域でもあります。いいかえれば、石見銀山一帯は日本海が形成された2000万年前後に金属・非金属資源が濃縮された場所で、その地質的特徴は、石見銀山の鉱床形成とも無縁ではないと思われます。

地質図

石見銀山周辺の地質(新編島根県地質図をもとに簡略化・加筆)
大田地域の鉱山のうち、石見銀山は大江高山火山(仙ノ山)の活動にともなう熱水鉱床。石見鉱山、鬼村鉱山、延里鉱山、松代鉱山、長谷鉱山は黒鉱鉱床または黒鉱鉱床に関連した鉱床。吉永鉱山は新第三紀の火山岩にともなう熱水鉱床。

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