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地層から学ぶ
大地の歴史

■グリーンタフ

グリーンタフ

鮮やかな緑色をした火山礫凝灰岩。(大田市仁摩町仁万)

 火山灰が堆積してできた岩石を凝灰岩といい、緑色のものは緑色凝灰岩(グリーンタフ/green tuff)と呼ばれます。

 特に、日本海が開いて日本列島の原型が形成された時代(新第三紀中新世)には、開きつつあった日本海の海底と海岸付近で活発な火山活動がありました。この時の海底火山活動によってできた凝灰岩はしばしば緑色をしていることが特徴で、グリーンタフをこの地層の代名詞的に用いることもあります。

【凝灰岩】
火山から破片状で放出される噴出物(火山砕屑物)が堆積してできた岩石が火山砕屑岩(火砕岩ともいう)といい、地質学的には粒子の大きさによって凝灰岩、火山礫凝灰岩、凝灰角礫岩、火山角礫岩と呼び分けます。
石材として使われる時などは、凝灰岩から凝灰角礫岩に相当する大きさのものまで「凝灰岩」と総称することがあります。

粒子による区分の目安としては、粒が細かくて一粒ずつが判別できない程度のものが凝灰岩、米粒から500円玉程度の直径の粒(火山礫)を含むものが火山礫凝灰岩、細かな粒の中に火山礫が点在するものが凝灰角礫岩、大部分が火山礫からなるものが火山角礫岩です。

グリーンタフ

ほぼ平行な葉理(筋もよう)が発達する緑色凝灰岩(大田市仁摩町仁万)

 グリーンタフの緑色は凝灰岩の本来の色(火山灰などが堆積した時の色)ではありません。火山砕屑物の色はマグマの質や発泡(マグマの泡立ち具合)、冷却時の温度条件などによって変化しますが、基本的には灰白色〜暗灰色、黒色です。グリーンタフの色は、火山砕屑物が堆積した後の熱水による変質作用で緑色の鉱物が生成されたことによるものです。

 熱水は熱いマグマの周辺で加熱された地下水や、マグマから放出された水で、地下深部では数百度の温度があります。この水が地層中に染み込み、熱水中の成分との反応によって火山砕屑物に含まれる鉱物のうち角閃石や輝石などの鉱物が変質して「緑泥石」という緑色の粘土鉱物ができます。その名の通り緑色の鉱物で、これが生成されたものがグリーンタフです。

グリーンタフ地帯

グリーンタフの分布域

 大田市はグリーンタフが広く分布しています。グリーンタフの地層は日本海側を中心に日本列島に広く分布していて、秋田県をはじめ東北地方に特に広く分布しています。大田市はこの地層の分布域の西端にあたり、西日本ではもっとも典型的に分布している地域でもあります。

 大田市で採石されている「福光石」は緑色をおびる火山礫凝灰岩で、色も成因(日本海が開く時の火山噴出物)もグリーンタフそのものです。

 グリーンタフの地層は黒鉱鉱床という様々な金属鉱物を含む鉱床を含むことがあります。大田市には黒鉱型の鉱床が複数あります。

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