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地層から学ぶ
大地の歴史

■仁万海岸のタマネギ状ノジュール

仁万海岸のノジュール

海食台に点在するノジュール。球状で周囲の岩石(凝灰岩)よりも 硬いためにノジュールが出っ張っている部分があります。

 凝灰岩が露出する仁万海岸の海食台の一角に、野球のボールかそれよりも小さめの丸い石が埋まっているように見える場所があります。断面が見えてるものでは同心円状に茶色の筋があり、タマネギを切った断面のように見えます。

 この丸い石はノジュール(日本語では団塊)と呼ばれるもので、埋まったものではなく地層の一部が硬くなってできたものです。ノジュールは堆積岩中にできることが多く、何らかの理由で地層中に特定の成分が集まって堆積物の粒子をくっつける働きをして生成されます。ノジュールを作る成分は、炭酸カルシウム(方解石)や二酸化ケイ素(めのう、石英)の場合が多く、鉄の酸化物(黄鉄鉱)によって固まったものもみられます。

 ノジュールはしばしば化石を核にしてできていることがありますが、化石が含まれていないものもあり、仁万海岸のこのノジュールも化石は含んでいないようです。化石としては残っていなくても何らかの核になる物質があって、それが地層中で化学的に変化する時に核の周辺だけ環境(例えば酸化還元電位)が異なることで特定成分の沈殿が生じことが考えられます。

仁万海岸のノジュール

断面が見えているノジュール。レンズキャップの直径は約62mm。

ヒマラヤアンモナイト

ヒマラヤのアンモナイトノジュール

 ノジュールとしてよく知られているものにヒマラヤで産出するアンモナイトを含むものがあります。カリガンダキ川産がよく知られており、標高5000mを超える高所の川原に点在する黒い石からアンモナイトなどの化石を多産します。

 写真のアンモナイト化石がヒマラヤ産のもので、アンモナイトの部分は黄鉄鉱に置き換えられています。

 ネパールではアンモナイト化石は神の石として大切にされてきました。以前はカトマンズの市場(バザール)でアンモナイトノジュールを山盛りにして販売されていましたが、化石の枯渇が心配されることから産地からの持ち出しが制限されるようになったそうです。

 写真のアンモナイト化石は1995年にカトマンズでチベット人の行商人から購入したもの。

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