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大田の地形と地質

地層観察の手引き

■大江高山火山と都野津層

大田市南西部の地質図

大田市南西部の地質図

大江高山火山

大田市西部に、大江高山(808m)を筆頭に矢滝城山(634m)、三子山(587m)、仙ノ山(537m)、馬路高山(499m)などのピークが集まる山群があります。周囲の地形が台地状の丘陵地であることに対し、急峻な峰々の集まりです。
この山群は、200万〜70万年前に活動した火山からなり、大江高山火山と呼ばれます。東西約4km、南北約6kmの範囲にあり、デイサイトマグマの活動で形成された溶岩円頂丘および火山砕屑丘で構成されます。火山噴出物の堆積は20立方km以上と見積もられ、一連の火山としては島根県で最大です。

山体の形成から少なくとも70万年以上が経過していますが、溶岩円頂丘の地形の特徴が比較的よく残っています。
仙ノ山は大型の火山砕屑丘で、銀および銅の鉱床を胚胎します。石見銀山はこの鉱床を採掘した鉱山です。
最高峰の大江高山はイズモコバイモやミスミソウ、ギフチョウなど希少な動植物がいくつか残されています。急峻な地形のため開発が及びにくかったことで、希少種が残ったと思われます。

→大江高山火山関連図版

大江高山火山遠景

三瓶山山頂からみた大江高山火山。なだらかな丘陵地の一角に急峻な溶岩円頂丘が寄り集まっている。

大江高山のミスミソウ

大江高山に咲くミスミソウ。4月中旬に撮影。

大江高山のギフチョウ

大江高山のギフチョウ。西日本で有数の生息地となっている。4月中旬に撮影。

都野津層

大田市以西の島根県(石見地域)には、おおむね300万〜200万年前頃(新生代新第三紀鮮新世末〜第四紀更新世前半)に堆積した地層が断続的に分布しています。この地層は「江津層群」と総称され、その大部分が「都野津層」と呼ばれる地層です。都野津層は海岸付近で堆積した地層で、礫層を主体としながら、その間に数枚の粘土層を挟みます。粘土層の中には、陶土に適した粘土を産出する部分があり、「石州瓦」に代表される石見地域の窯業に用いられています。

江津市を中心に、海岸部に分布する都野津層には、4〜5枚の海成粘土層が挟まれており、4〜5回の海進海退サイクル(海面変動による海岸線の前進後退)のもとで都野津層が形成されたことがわかります。なお、海成粘土は焼成すると変形を起こしやすい粘土鉱物を含んでいることから、以前は陶土としてはあまり用いられませんでしたが、近年は精製して用いるようです。

大江高山火山の南東の大田市水上町を中心とする地域にも都野津層に相当する地層があり、「水上層」と呼ばれます(都野津層と水上層を特に区別せず、一括して都野津層とすることもあります)。水上層は都野津層よりも内陸側で形成されたもので、海成粘土層を挟まないことが特長です。

都野津層・水上層と大江高山火山の噴出物は一部で互いに重なり合っています。このことは、都野津層と水上層の堆積が進んでいる時に、その傍らでは大江高山火山の活動があったことを示しています。都野津層の最上部にあたる砂層は大江高山火山の三子山や仙ノ山の噴出物を覆っており、三子山では硅砂鉱床として採掘されています。

都野津層と水上層からは動物や植物の化石を産出することもあり、江津市都野津町では約300万年前に生息していたステゴドンゾウが発見されています。

※都野津層の名称について、古い文献では「江津層群」に相当する区分を「都野津層群」としたものがあり、水上層と都野津層を一括して「都野津層」とする場合もあるため、本サイト内でもそのように表現している場合があります。

水上層の露頭

粘土採掘場の跡地に残る水上層の露頭。礫層が主体で間に粘土層を挟む。

水上層の礫層

水上層の礫層。大半を白色〜明灰色の流紋岩質の礫が占める。


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