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大田の地形と地質

地層観察の手引き

■三瓶火山

三瓶山遠景

西側からみた三瓶山。左から男三瓶山、子三瓶山、孫三瓶山。麓の緩やかな斜面は西の原。


大田市南東部の三瓶山は、男三瓶山(1126m)を主峰とし、子三瓶山(961m)、女三瓶山(957m)、孫三瓶山(903m)、太平山(854m)、日影山(718m・697m)などの峰からなります。
三瓶山はカルデラを持つ火山で、これらの峰はカルデラ内に形成された溶岩円頂丘および火山砕屑丘です。カルデラは直径約5kmで、カルデラ形成以後の噴出物で大半が埋積されています。


三瓶火山の活動は10〜11万年前に始まり、7回の活動期が知られています。最新の活動は約4000年前で、活火山に指定されています。
初期の活動では大規模な軽石噴火を行い、遠方までテフラ(火山灰や軽石の総称)を供給しています。現在の山体は、第4活動期以降の比較的静かな溶岩噴出によって形成されたものです。


10〜11万年前の第1活動期では流紋岩質の火砕物を噴出しました。その噴出物は「三瓶木次テフラ」として広く分布し、東北地方でも確認されています。約7万年前の第2活動期には大規模な火砕流(軽石流)を伴いました。その噴出物は「大田軽石流堆積物」と呼ばれ、火口から15km以上離れた大田市街の各所で10m以上の厚さで残存しています。この2時期は噴出量が大きく、カルデラが形成されました。
約5万年前、約1万6千年前の第3活動期、第4活動期にも軽石噴火を行いました。
第3活動期の噴出物である「三瓶池田テフラ」は、三瓶山麓周辺では風化していない白色の軽石が特徴です。
第4活動期の「三瓶浮布テフラ」は中国山地東部から近畿地方にかけて厚く分布しています。この活動期には静かな溶岩噴出もあり、日影山を形成しました。これが三瓶山の山体で最も古いものです。


第5活動期は小規模なもので、山麓の一部で噴出物が確認されています。第6活動期、第7活動期は、1990年代の雲仙普賢岳の活動で観察された溶岩ドームの形成とその崩壊による火砕流を繰り返すタイプの噴火を行い、限山体の大半はこの2時期に形成されました。また、第7活動期には山麓の森林が埋積され「三瓶小豆原埋没林」が形成されました。
山体の形成について、それぞれの峰が個別の溶岩円頂丘として形成されたという考えと、大型の溶岩円頂丘が崩壊した残存部がそれぞれの峰になったという考えがあります。
男三瓶山、子三瓶山、女三瓶山、孫三瓶山はいずれも溶岩円頂丘の特徴を持っていること、大型の溶岩円頂丘の崩壊物に相当する堆積物が存在しないことは、個別の溶岩円頂丘であることを物語ります。カルデラの内で旧火道に沿って環状に火道が形成されて複数の溶岩円頂丘が形成され、火山活動の最終段階で、環状に配列した峰の中央部に取り残されたくぼ地「室ノ内」で爆発的な噴火が生じたことで、現在の山体が形成されたとみられます。


大田軽石流堆積物

大田市青果卸売市場の裏に露出した大田軽石流堆積物の地層。


→三瓶山の自然史(三瓶火山の歴史と三瓶小豆原埋没林)


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