タイトルバナー

地層から学ぶ
大田市の大地

■地層から学ぶ大田市の大地ー観察してみよう

地層から学ぶ大田市の大地2−1

2-1.png(1024×768ピクセル)

「2.観察してみよう」では、大田市波根町の立神岩を例に、野外での地層観察のポイントを紹介します。
立神岩は、波根漁港の東にそそり立つ海食崖(かいしょくがい:波の浸食作用でできた崖)で、国道9号線や山陰本線の車窓からもよく見えます。濃い色と薄い色の層がはっきり目立つ地層です。

地層から学ぶ大田市の大地2−2

2-2.png(1024×768ピクセル)

崖全体の画像をみて、どんなことに気づくでしょうか。自由な発想で、たくさんの「気づき」を引き出してください。

地層から学ぶ大田市の大地2−3

2-3.png(1024×768ピクセル)

このスライドでは、立神岩の大きな特徴を3つ挙げています。(この3つが「正解」という意味ではありません。)
この後のスライドで、この3つについて、もう少し詳しく観察します。

地層から学ぶ大田市の大地2−4

2-4.png(1024×768ピクセル)

明るい色と暗い色の縞模様の違いが何か、拡大画像で確かめてみます。
地層を作っている粒の種類や形などを観察することで、情報を読み取ることができます。
このスライドは、立神岩の下部で波打ち際に面した部分(2−2の画像で右下隅あたり)の暗い色の層と明るい色の層が重なっている部分を写した画像です。崖全体の画像では見えなかった特徴が見えていると思います。
暗い色の部分と明るい色の部分の違いが、画像からわかるでしょうか。

地層から学ぶ大田市の大地2−5

2-5.png(1024×768ピクセル)

暗い色の部分の拡大画像です。暗い色の部分はレキが重なってできたレキ岩の層でした。レキの大きさは、数センチからこぶし大程度のものが多く、中にはバスケットボールよりも大きなものも含まれています。
次のスライドで、他の地層と比べながら、レキの特徴を探してみます。

地層から学ぶ大田市の大地2−6

2-6.png(1024×768ピクセル)

レキの形は、地層から読み取ることができる重要な情報のひとつです。このスライドでは、立神岩のレキの特徴をはっきりさせるために、久手町波根西のレキ岩層と比較しています。
ふたつの画像を比べて、レキの形の違いに気づくことができるでしょうか。

地層から学ぶ大田市の大地2−7

2-7.png(1024×768ピクセル)

立神岩と波根西の礫岩層を比較すると、立神岩のレキは角が取れて丸みをおびています(すっかり丸くなってはおらず、ややいびつな形)。一方、波根西のレキは角ばっていて、ほとんど角が取れていません。
この形の違いは、レキの運ばれ方の違いを物語っています。水の流れで転がりながら運ばれたレキはどちらでしょうか。

スライドでは説明していませんが、波根西のレキは火山が噴出したレキや火山灰が火砕流として流れて堆積したものです。白く見えるレキは柔らかな軽石です。水の流れで運ばれていないために、角ばったままで堆積しています。このような岩石は「火山角礫岩」や「凝灰角礫岩」と呼ばれます。

地層から学ぶ大田市の大地2−8

2-8.png(1024×768ピクセル)

立神岩のレキ層が、水の流れで運ばれたレキによってできていることに気づくことができれば、地層からひとつの情報を読み取ったことになります。
もう少し詳しい情報は、レキの丸みの具合から読み取ることができます。立神岩のレキはややいびつな形を残しているので、長い時間波に洗われたものではなく、川が河口付近まで運んだものがそのまま堆積したようです。
なお、ここのレキの岩石種は、大半が安山岩(火山岩の一種)で、硬質なものです。

地層から学ぶ大田市の大地2−9

2-9.png(1024×768ピクセル)

明るい色の部分はレキの層に比べて小さな粒でできた岩石「砂岩」でできています。
レキ岩と砂岩の地層のでき方の違いを考えてみましょう。
水の流れの強さによって運ばれる粒の大きさが違うことに気づくことができるでしょうか。

砂岩の層をよく見ると、ほうきで砂を掃いた時のような模様が見えることがあります。この模様は、川の流れや波の力、沿岸流によって砂が運ばれて堆積した時にできたものです。
この模様が水の働きでできたことを実感するためには、水槽実験などで砂を流して、溜まった砂の断面を観察すると良いでしょう。また、砂浜や川岸の砂を掘って断面を観察しても、同じような模様が観察できます。
砂が堆積する時にできた模様は、それがどのように運ばれてきたかを知る手がかりにもなり、堆積学の専門家は、この模様から流れの方向や流れの強さなどの情報を読み取ります。
地層中に見えるこのような模様は「葉理(ようり)」または「ラミナ」と呼ばれ、スライドの画像のように筋が斜めに接しているものは「斜交葉理」、筋が平行なものは「平行葉理」と呼ばれます。

地層から学ぶ大田市の大地2−10

2-10.png(1024×768ピクセル)

明るい色の部分は砂岩ばかりでなく、火山灰(凝灰岩)でできた部分もあります。砂と火山灰の見分けは肉眼では難しいので、ここでは紹介にとどめておきます。
画像は火山灰層の部分を拡大したものです。大きな粒は火山の噴火でできた軽石、そのまわりの細かな粒は火山灰です。
火山灰とは、火山噴火時に爆発的な噴火で粉々に吹き飛ばされて固まったマグマです。地層で見分けるには経験が必要ですが、ルーペや顕微鏡で観察すると、角ばった粒でできている様子が見えることがあります。水のはたらきで運ばれた砂粒は角が少しとれていることが普通です。
火山灰でできた地層があることから、地層ができる時に火山噴火の影響があったことが想像できます。

地層から学ぶ大田市の大地2−11

2-11.png(1024×768ピクセル)

水平線と比較してみると、立神岩の地層が画像左側に向かって傾いていることがわかります。

地層から学ぶ大田市の大地2−12

2-12.png(1024×768ピクセル)

立神岩とその先にある島(立神島)との間の崖は急角度で切り立っています。
それぞれの地層はよく似ていて、もともとつながっていたように見えます。
どうしてこのようになっているのでしょうか。

地層から学ぶ大田市の大地2−13

2-13.png(1024×768ピクセル)

画像から見つけた地層の特徴をもとに、この地層がどのようにできたかを想像してみましょう。
レキ、砂、火山灰でできていること、レキが丸みを帯びていることかどのようなことが考えられるでしょうか。
地層が傾いているのはなぜでしょうか。
島の地層が同じなら、どうして切り離されたような形になっているのでしょうか。

地層から学ぶ大田市の大地2−14

2-14.png(1024×768ピクセル)

立神岩の地層は、河口近く(三角州)の堆積物です。
しかし、このことを画像から得られる情報から引き出すのは無理なので、“種あかし”的な紹介になります。
なお、三角州の堆積物であることは、丸みを帯びたレキからなるレキ岩層と砂岩層が交互に重なり、地層の連続性が比較的良いことから推定できます。

地層から学ぶ大田市の大地2−15

2-15.png(1024×768ピクセル)

河口近くでは、流れが強い場所、流れが強い時にレキがたまり、やや流れが弱い場所で砂がたまります。泥は入江では岸近くにたまりますが、海流や波の影響が強い海岸では沖まで運ばれてある程度深い海底にたまります。
河口は、土砂を堆積しながら沖へと前進します(三角州の成長)。イラストでは、そのイメージを地層中の細い線で示しています。急角度で描いていますが、実際の傾斜はごく緩やかです。
レキ、砂、泥を流す水槽実験をすると、三角州の成長の様子と粒の大きさの違いによるたまり方の違いがよくわかります。

地層から学ぶ大田市の大地2−16

2-16.png(1024×768ピクセル)

立神岩の地層には火山灰層が挟まれていることから、火山噴火の影響があったことがわかります。
火山灰は風によって遠くまで運ばれて堆積することもありますが、大きな軽石も含むことから、比較的近い場所で火山噴火があったと考えられます。
この火山とは、三瓶山や大江高山のように現在見える火山ではなく、ずっと古い時代のものです。

地層から学ぶ大田市の大地2−17

2-17.png(1024×768ピクセル)

大地にはプレートの動きなどによる力が加わっているため、地盤の変形がおこることがあります。日本列島はその変化が大きな場所です。
大地に加わる力で地盤が一気に破壊される時、地震が発生し、地盤が破壊された傷跡(ズレをともなうもの)が断層です。日本の地盤には至る所に断層があります。
なお、活断層は過去数十万年間にずれた断層のことで、大地の歴史では“ごく新しい”ものです。活断層は地盤に多数ある断層のごく一部にすぎません。

地層から学ぶ大田市の大地2−18

2-18.png(1024×768ピクセル)

出雲市小伊津町の地層は小学校理科の教科書にも紹介されたことがあります。地層が海の方へ向かって大きく傾いた地層が海岸の崖に露出しています。
島根町の地層は加賀港の近くにあります。写真の奥側へ向かってゆるやかに右へ曲がっています。

地層から学ぶ大田市の大地2−19

2-19.png(1024×768ピクセル)

特殊な地層の例です。 <br /> 温泉津町の折れ曲がった地層は、海底地すべりによってできたもので「スランプ構造」と呼ばれる地質現象です。
スランプ構造は、「ふとん」で説明されることがあります。板の上にふとんを広げて、板を次第に傾けていくとふとんはずり落ちて、折れ曲ります。
海底の地層の表面がふとんのように滑り、複雑に折れ曲がったものがスランプ構造です。
大田市の海岸では、このような特殊な地層もしばしば見ることができます。

地層から学ぶ大田市の大地2−20

2-20.png(1024×768ピクセル)

立神岩の地層はもともと続いていたものが、波による侵食作用で切り離されました。
この数枚のイラストでは、島が切り離される様子を模式化して示しています。実際には、立神岩(右側)に対して立神島はやや奥側にあるため、海食洞の位置や地層の連続性はこのイラストと若干異なります。

地層から学ぶ大田市の大地2−21

2-21.png(1024×768ピクセル)

地層から学ぶ大田市の大地2−22

2-22.png(1024×768ピクセル)

地層から学ぶ大田市の大地2−23

2-23.png(1024×768ピクセル)

地層から学ぶ大田市の大地2−24

2-24.png(1024×768ピクセル)

大田市には日本列島が形成された時代の地層が広く分布しています。その時代の大変動の原動力となった火山噴火の地層や、当時の海底火山の噴火でできた鉱山もあります。
日本列島形成の時代の地層が分布する地域は「グリーンタフ地帯」と呼ばれ、日本海側を中心に北海道から島根県まで連続しています。大田市はグリーンタフ地帯の西端にあたります。
さらに、大田市には石見銀山とそれを生んだ大江高山火山、活火山の三瓶山、石州瓦の原料となる粘土を産する地層があり、地質的な特徴に富んだ地域です。このような地域は、全国的にも稀でしょう。

地層から学ぶ大田市の大地2−25

2-25.png(1024×768ピクセル)

ここで示した大地の変化は、地層の調査によって明らかにされてきたものです。
地層を調べることで、大地の変化や生物の歴史を知ることができます。また、人の暮らしに欠かせない地下資源(金属資源、非金属資源、燃料資源)は地質調査によって探査され、採掘されるようになります。
建物を建てたり、道路を作るためにもその場所の地層の情報は欠かせません。地震や土砂崩れ、火山噴火などの災害の予測や対策も地層の調査に基づいて行われるものが多くあります。
普段、地層は生活や社会とはあまり関係がないように思われがちですが、そこから得られる情報は私たちのくらしを支えているのです。

inserted by FC2 system