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地層観察の手引き

■五十猛のなまり山と石こう鉱山

2012年6月24日 石見銀山地質研究会配布資料 (於)五十猛公民館

*図版は1024×768ピクセル。オリジナルサイズでコピーできます。


・磯竹のなまり山とは?
 大田市五十猛町地頭所の鳴滝山にあった鉛鉱山。石見鉱山と隣接するエリアにある。1600年頃の開発と伝わり、江戸時代には石見銀山での銀製錬に用いる鉛を産出した記録が残る。


大田市の地質概要と鉱山

大田市西部の地質概要と鉱山


・なまり山の意義
 1533年に石見銀山に導入されたとされる銀製錬法「灰吹法」は、銀鉱石に鉛を投入して銀を取り出す技術。石見銀山の鉛産出量は少なく、製錬に必要な鉛を搬入する必要があった。その供給地として、位置的に最も近い磯竹のなまり山は重要な存在と思われる。


灰吹法のイメージ図

灰吹法のイメージ図

灰吹法のイメージ図

灰吹法のイメージ図

灰吹法のイメージ図

灰吹法のイメージ図

灰吹法の概念図。鉛は石見銀山での銀製錬に欠かせない金属だった。
(元素の種類や結合の様子はイメージであり、実際の製錬時のものとは異なります。)


・どのような鉱山か?
 新第三紀中新世の中頃(およそ1600万年前)の凝灰岩中に胚胎される熱水型鉱脈鉱床。主要な産出鉱物は、方鉛鉱、閃亜鉛鉱、黄銅鉱など。一帯は「黒鉱鉱床」が点在している。磯竹のなまり山自体は黒鉱鉱床ではないが、関連する鉱床の可能性が高い。


・黒鉱鉱床とは?
 日本海拡大期の一時期(中期中新世)の海底火山噴出物に伴われる鉱床。様々な鉱物が混在した黒色の鉱石を特徴とする。海底に噴出した熱水からの沈殿物が堆積してできたもので、日本列島に特徴的な鉱床。


黒鉱鉱床の模式断面図

黒鉱鉱床の模式断面図


・黒鉱鉱床を胚胎する地層
 黒鉱鉱床を胚胎する海底火山噴出物は緑色凝灰岩を特徴とする。この地層が分布する範囲は「グリーンタフ地帯」と呼ばれ、鉱物資源に富んだ地域である。大田市はグリーンタフ地帯の西端にあたる。


グリーンタフ地帯と黒鉱鉱山

グリーンタフ地帯と黒鉱鉱山


・緑色を呈する凝灰岩
 凝灰岩が熱水変質を受け、輝石や角閃石などの鉱物が緑泥石という粘土鉱物に変わったもの。緑の発色は主に鉄による。日本海形成期の海底火山噴出物は緑色を呈することが多い。温泉津町で産する「福光石」も緑色凝灰岩。


グリーンタフ

仁万海岸に露出する緑色凝灰岩(グリーンタフ)


・大田の石こう鉱山
 黒鉱鉱床は、黒鉱鉱体の周辺に石こう鉱体を伴う。鬼村鉱山、松代鉱山は黒鉱周辺の石こう鉱体を採鉱した鉱山。石見鉱山も黒鉱の採掘を止めた後は、石こうを採鉱した。明治時代末から昭和40年代にかけて大田地域は全国有数の石こう産出地であった。


・石こうの用途
 石こうは硫酸カルシウムを主成分とする鉱物で、石こうボード、ギブス、美術造形用、セメントの副材料、生薬など。建築材料原料としての用途が多い。

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