タイトルバナー

大田の地形と地質

地層観察の手引き

■大田の地層観察の手引き

波根西の珪化木の観察

波根西の珪化木は、地層中に埋もれた太古の樹木が化石になったものです。これほど大きな化石を現地で見ることが出来る場所は全国的にも稀で、大地の歴史を知る良い教材です。


【場所】
久手駅から徒歩25分。


【注意点】
現地は海岸の岩場です。階段と手すりが整備された範囲から見学してください。波が高い時には近づくことが出来ません。


波根西の珪化木

波根西の珪化木。海食崖から突き出て、海底に続いている。


1.観察のポイント


(1)珪化木には普通の石と違う特徴があるか観察してみましょう。


(2)珪化木が埋もれているレキ岩の層にはどのような形のレキが多いでしょう。


(3)レキ岩の地層が周辺に続いている様子をよく見てみましょう。


(4)珪化木の木が生きていた時代を想像してみましょう。


2.解説


(1)珪化木を注意深く観察すると、木肌の雰囲気をよく残していることがわかります。色は白い部分や黒い部分があり、木の色ではありません。触ることはできませんが、珪化木は完全に固い石になっています。木の形は残っていますが、成分は石に置き換わっています。
珪化木は、「二酸化ケイ素」という物質が木材の成分と置き換わって、石になったものです。二酸化ケイ素は岩石の最も主要な成分です。二酸化ケイ素だけからできた鉱物には石英(水晶)やメノウがあります。珪化木は木がメノウに置き換わったものということもできます。


(2)珪化木を埋めている地層は大小のレキが入り混じった地層です。レキの形をみると、少し角が取れたものが多く、角張ったものも含まれています。角が取れて丸みを帯びたものが多いので、水の力で運ばれたレキの地層であることがわかります。
学校での学習範囲を超えますが、さらに詳しくみると、レキが大小混じっていて、その大部分が火山岩のレキです。軽石のレキもたくさん含まれています。レキの間を埋めている物質は火山灰であることから、この地層は火山活動にともなって発生した土石流によって堆積したことがわかります。


(3)周囲の崖を見ると、レキ岩の地層が続いている様子や、少し傾いていて、その上に違う層が重なっていることがわかります。同じ地層が続いていることから、他にも珪化木が埋もれている可能性を想像できるでしょうか。
付近には他にも多数の珪化木があります。珪化木のすぐそばにも1個体が海中に横たわっており、観察地の海食台の上にもいくつかあります。付近の海底に潜るといくつも転がっているそうです。


(4)珪化木の木が生きていたのは1500〜1800万年前で、日本列島が形成されつつあった時代です。当時はまだ日本列島が今の形ではなく、中国山地の中央付近(三次〜庄原)にまで海が入り込んでいるような状況でした。今の地形とは全く異なっており。今の山のどこかに珪化木の木が生えていたのではありません。想像することが難しいかも知れませんが、大地の時間を感じるために思いを巡らせてみて下さい。


波根西の珪化木付近の地層

レキが比較的細かい部分。白いレキは軽石。


波根西の珪化木付近の地層

珪化木を含むレキ岩層は付近の海食崖に連続しています。その上に砂岩層が重なっています。


*参考


波根西の珪化木はブナ科の樹木と考えられています。かなり大型の珪化木で、地層中に埋もれている部分を含めると長さは優に10mを超えるとみられます。全国的にもまれな大きさの樹木化石であることから、国の天然記念物にしていされています。


久手の海中には多数の珪化木があり、久手港の整備時にもいくつも引き上げられたそうです。久手小学校に設置されているキリ科の珪化木は、その時に引き上げられたもののひとつです。


樹木が石に変わるのは、地層中に埋もれた後、二酸化ケイ素を多く含んだ温泉水(熱水)が地層に浸透し、樹木の細胞のすき間へ入り込み、さらには樹木の成分が溶け出した後に入り込み、そこで微小な結晶(=メノウ)になる作用によります。その作用を珪化作用といい、完全に珪化が進んだ珪化木には元の樹木の成分である炭素はほとんど残されていません。
珪化に要する時間は、数千年から数万年で、波根西の珪化木が埋もれていた時間(1500〜1800万年)に比べると随分短い時間です。
珪化木は随分古い時代のものですが、それでも地球の歴史(約46億年)の中ではかなり新しい時代で、大地の歴史がいかに長いものかを感じることが出来るでしょうか。

・3・/ 次のページへ

inserted by FC2 system