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地層観察の手引き

■鬼岩の伝説〜大田市大屋町鬼村の鬼岩〜

鬼村の鬼岩

鬼村の鬼岩


 昔、鬼村の近くの山に鬼がすんでいた。ある時、鬼は自分の城を造りたいと思い、村人に話を持ちかけた。
 「俺は自分の城が欲しい。どうだ、この村に城を造らせてはくれまいか。」
 鬼が村にすみついてしまったら、村で暮らせなくなってしまう。村人は断った。
 断られた鬼は、城を造らせて欲しいと観音様に相談した。観音様は村人のことを思い、無理な条件をつけて承知したふりをすることにした。
 「どうしてもと言うのならば、夜明けまでに完成させることができれば、村に城を構えてもよかろう。そのかわり、城ができなければ二度と村人の前に姿を現すではないぞ。その時は私が許さないからな。」


 観音様に許しを得た鬼は喜び、張り切って山から大きな石を運び出しては石垣を積み上げ、大急ぎで城を造り始めた。見る間に石垣は高くなり、夜明けまでに城が完成してしまう勢いだった。
 その様子を見た観音様は慌てた。まさか、そんなに早く城を作り上げるとは思っていなかったのだ。
 「このままでは、本当に夜明けまでに城ができあがっていまう。そうなれば、村人が困ってしまうではないか。はて、どうしたものか。」
 困った観音様は、鬼に夜が明けたと思わせることにした。
 「コ、コ、コケコッコー!」
 観音様は、鶏の鳴き真似をした。それを聞いた鬼は、夜が明けたと勘違いした。
 「しまった、夜が明けてしまった。間に合わなかったか。」
 鬼はつかんでいた岩を放り投げると、大急ぎで山へ逃げて行った。


 それ以来、鬼は村人の前に姿を現すことはなかった。鬼が投げた岩には手でつかんだ時の指の跡がはっきり残されていた。いつしか、村人はこの岩を鬼岩と呼ぶようになり、指の跡の5つの穴に観音様や地蔵様をまつるようになった。
 やがて、人々はこの村を鬼村と呼ぶようになったという。

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