目次
1.石製品の例
(1)龍昌寺跡(大森町)の石製品
(2)勝源寺(大森町)の石製品
(3)温泉津町出土の石製品
(4)物部神社(川合町)の石製品
(5)福城寺(川合町)の石製品
(6)真浄寺(大田町)の石製品
2.露頭等に見られる岩石
(1)温泉津町の凝灰岩
(2)長久町の凝灰岩
(3)川合町の砂岩
(4)川合町の玄武岩・安山岩
1.石製品の例
(1)龍昌寺跡(大森町)の石製品
石窟内の宝篋印塔の白色凝灰岩。細粒で均質。同じ石窟内に2基が並んでいて、いずれも同じ石材で「大畑石」と呼ばれるもの。
調査で取り上げられ、世界遺産センターに収蔵されている五輪塔。細粒で均質な白色凝灰岩。石窟内の宝篋印塔の石材に似る。
調査で取り上げられ、世界遺産センターに収蔵されている五輪塔。空隙が点在する白色凝灰岩。
調査で取り上げられ、世界遺産センターに収蔵されている五輪塔。浅岡代官の墓の石塔左側。比較的新しい時代のもの。緑色火山礫凝灰岩(福光石)が使われている。大森町で福光石が盛んに使われるようになるのは江戸時代以降か。
大森町地内で産する火山礫凝灰岩も、新鮮な部分は福光石によく似た岩相を示し、土台石等に多用されている。黒色礫を含む特徴も共通しており、識別はかなり難しい。誤認しているものもあると思われる。
調査で取り上げられ、世界遺産センターに収蔵されている五輪塔。ざらつきがあり、班晶が少ない安山岩。
(2)勝源寺(大森町)の石製品
勝源寺では古い時期の五輪塔。大江高山系のデイサイト製。
(3)温泉津町出土の石製品
温泉津の発掘調査で出土した琉球系の流れをくむ石塔。世界遺産センターに収蔵。緻密で均質な白色凝灰岩。琉球から南九州に見られる石塔で、搬入品の可能性がある。
温泉津の発掘調査で出土した五輪塔の転用品。世界遺産センターに収蔵。16世紀以前と推定される比較的古い時期のもの。大江高山系のデイサイト。
(4)物部神社(川合町)の石製品
拝殿に向かって右手にある古い石塔。部品が欠損している。粗粒砂岩が使われている。
拝殿の石垣。粗粒で硬い安山岩が使われている。
本殿の石垣。気泡が目立つ玄武岩(玄武岩質安山岩?)が使われている。
本殿裏の山頂にある石塔。手前の灯篭と囲柵に白色凝灰岩が使われている。
石塔には安政7年3月と刻まれている。
破損した柵の破断面。白色細粒で暗色の粒子が点在している。
境内にある大型の石塔。山頂のものと同じ年号がある。石材も同一とみられる。
※2018年の改修で、竿や火袋などの部材が福光石に置き換えられた。
(5)福城寺(川合町)の石製品
古い石塔。細粒砂岩製。
上の石塔の石材。風化部は凝灰岩質に見える。
(6)真浄寺(大田町)の石製品
大型の墓石。粗〜中粒の砂岩が使われている。アーコース質か。
2.露頭等に見られる岩石
(1)温泉津町の凝灰岩
温泉津町斎場脇の凝灰岩露頭。石切り場ではない。
温泉津町斎場脇の白色凝灰岩。かなりしっかりしており、石材として使われているものに似ている。
(2)長久町の凝灰岩
静間川右岸、稲用城下流側の石切り場跡。
白色細粒の凝灰岩。表面の弱風化部に赤褐色の粒が見られる。二次鉱物か?
(3)川合町の砂岩
忍原トンネルの大田側出口付近にある砂岩の露頭。風化面が黄色いことが特徴的。一部に、石切り場跡と思われる痕跡がある。
上露頭の岩石。アーコース質で硬い砂岩。熱水作用を受けており、細かい黄鉄鉱の結晶が点在する。
(4)川合町の玄武岩・安山岩
川合町川合から鶴降へ至る道の途中に分布。ガス抜け跡がある多孔質の玄武岩または玄武岩質安山岩で、空隙に沸石が形成されている。物部神社の本殿石垣の石と同質。石垣の岩石には沸石は認められない。
忍原川左岸側の採石場。弱い柱状節理が発達した安山岩の大きな岩体。
上採石場の安山岩。結晶質で貫入岩の岩相を示す硬質岩。石見銀山の要石に使われたものか。