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大田の地形と地質

地層観察の手引き

■三瓶小豆原埋没林

三瓶小豆原埋没林公園

三瓶小豆原埋没林公園の展示棟内


三瓶小豆原埋没林は、地底にそびえる太古の巨木林です。発掘された巨木は残存部の樹高が10mを超え、見るものを圧倒する迫力を有します。また、原始の自然環境を伝える証拠としての価値も高いものです。
この森は三瓶火山の噴火によって埋没したもので、その時期は約4000年前です。森林を構成する樹木の中心は樹齢200〜650年のスギで、大きなものでは目通し高の直径が2mを超えます。スギ以外の樹木は、トチノキ、カシ、ムクロジ、ケヤキなどが混じっています。


巨木の幹が直立状態で多数残されている埋没林は世界的にも稀な存在です。その埋没には地形的な偶然が大きく影響しました。埋没林の谷は三瓶山に通じる谷の枝谷にあたることが最大の要因です。
形成過程は次のようなものでした。
火山活動にともない、三瓶山の山体で大きな崩壊が発生し、大規模な土石流(岩屑なだれ)を引き起こしました。土石流のエネルギーは大変大きく、巨木も一瞬で押し倒します。土石流は三瓶山に通じる谷を埋め尽くしながら流下し、埋没林の谷との合流部にも土砂が厚く堆積しました。そこからあふれた土砂は埋没林の谷へ逆流して入り込み、ちょうど勢いが衰えて停止した部分とそれより上流の木々は倒されずに残ったのです。
埋没林を埋めた地層の最下部は、この土石流の土砂からなり、その中には多量の流木が含まれています。その流木は、土石流がどこかで倒して運び込んだものです。


小豆原の谷は合流部が埋め尽くされたことでせき止められ、ダム状態になりました。
この状態は二つの現象をもたらしました。
土石流の直後に流れ込んだ火砕流は温度が300度前後ありましたが、木々は樹皮表面が炭化しただけでした。ダムに水が溜まったことで火砕流の堆積物が急冷されたことが推定できます。
また、ダムに流れる水は周辺に堆積していた火山灰を運び込み、木々を急速に埋積させていきました。おそらく、最初の土石流の発生から、木々が10m以上の深さまで埋もれるまでに要した時間は、数ヶ月程度と思われます。


地形的な偶然は、ダムの形成だけではありませんでした。
このような形で堆積した土砂は、普通は浸食されるのも早く、数千年の時間が経過すると谷は元の深さまに戻ってしまっても不思議ではありません。
ところが、谷を流れる河道の位置が、岩盤の上で固定されたために浸食が進まなかったのです。岩盤で固定された部分は、埋没林から約800m下流にある「稚児滝」です。
土石流などで谷がせき止められ、そこにあった森林が埋没することは、火山地帯ではそれほど珍しい現象ではないでしょう。にも関わらず三瓶小豆原埋没林が希有な存在であることは、埋没後の浸食を免れたことが大きな要素だと考えられます。


→縄文時代の巨木の森 三瓶小豆原埋没林

→太古の森 三瓶小豆原埋没林

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