地底にそびえる縄文時代の巨木
三瓶小豆原埋没林は三瓶山の噴火によって約4,000年前に埋もれた森です。タイムカプセルのように、太古の森が残されています。世界的にもこれほど大きな幹を残した埋没林は知られておらず、大変珍しいものです。その貴重性から、国の天然記念物に指定されています。 発見された樹木は半分以上がスギで、トチノキやケヤキ、カシなどが少し混じります。
発掘調査で立木の根まで現れた様子
1983年に見つかった立木
1983年に、水田の工事中に2本の立木がみつかりました。その時は、工事の邪魔だったので切られましたが、その後、地元の学校の先生で火山研究家の松井整司さんが詳しく調査して、三瓶山の噴火で埋もれた森が地下にあることをつきとめました。
埋没林ができるまで
小豆原の谷には、何百年もかけて育ったスギの大木が森を作っていました。多根の谷の上流には三瓶山があります。
三瓶山が噴火し、大きな土砂崩れの土砂が多根の谷を流れ下り、小豆原の谷には下流から逆流して流れ込みました。
小豆原の森は、土砂によって根元が埋もれ、さらに、土砂ダムに流れ込んだ細かい火山灰で深く埋もれました。
三瓶山の北のふもと、三瓶町多根にある三瓶小豆原埋没林は、大昔の森が約4,000年前の三瓶山の噴火で埋もれたものです。当時の地面に根を張り巡らし、巨大な幹が立ったままで何十本も残っていることが大きな特徴で、世界的にも大変珍しいものです。大きな木は、幹周りが7〜8mに達し、幹の高さが12mを超えます。生きていたときの樹高は40〜50mと推定される巨木です。
三瓶小豆原埋没林の木々が生きていた時代は、縄文時代です。4,000年前の日本列島に暮らしていた人々は、狩りや漁をしたり、木の実を採ったり、時には簡単な農業をして生活していました。住んでいたのは海や川に近い日当りが良い場所でした。山奥にしげっていた三瓶小豆原埋没林の木々は人に切られていない原始の森で、自然環境の変化を研究したり、学んだりする上でとても貴重です。
また、現在の山林ではほとんど見られないような巨木が地底に立ち並ぶ様子は、見学した人に大きな驚きと感動を与えてくれます。三瓶小豆原埋没林は、大田市の観光資源としても重要なもので、西日本を中心に、全国から年間数万人が見学に訪れます。