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しまねの自然スポット

出雲地方・隠岐地方

■小伊津・長尾鼻の砂泥互層(出雲市)

小伊津の砂泥互層

 出雲市小伊津町の海岸は、50m以上の切り立った海食崖に縞模様が明瞭な地層が露出し、印象的な景観です。地層は砂岩層と泥岩層が交互に重なっていて、海に向かって急角度で傾いています。波打ち際の海食台では洗たく岩状になっています。この地層の成因は、海底で発生した地滑り等によって土砂が流れる現象「タービダイト」で説明されます。

 このような地層は「砂泥互層」と呼ばれます。この地層が形成された場所は、海岸からやや沖合の海底でした。そこでは普段は沖まで運ばれた泥が静かに堆積しています。大きな地震が起きると海底で地滑りが発生し、海岸近くに溜まっていた砂が崩れて海底を流れます。その砂が沖合の泥の層に重なって砂の地層を作るのです。地震後は再び泥が堆積し、地震が発生するとまた砂が運ばれてくることが何万年、何十万年にわたって繰り返されました。その結果、砂岩と泥岩の薄い層が交互に重なる砂泥互層が形成されました。

 長尾鼻の砂泥互層が形成された時代は1500万年ほど前で、日本海が広がり、日本列島が大陸から切り離された大地殻変動の後半です。繰り返された地震は、日本海拡大の変動と関係していたのかも知れません。

 海底で堆積した時、この地層はほぼ水平でした。ところが、現在は大きく傾いています。この傾きは島根半島が隆起した地殻変動によるものです。島根半島は複雑な地殻変動によって形成されており、各所に断層やしゅう曲といった変動の痕跡が残されています。

 同じような砂泥互層は、松江市加賀町の須々海海岸でもみることができます。このように明瞭なタービダイト互層が見られる場所は、全国的にみてもそれほど多くはなく、小伊津海岸の露頭は露出規模が大きく、理科の教科書に掲載されたこともあります。

小伊津の砂泥互層

海食台には規則正しい凹凸があり、「鬼の洗濯岩」の名で知られる宮崎県の青島海岸と似た雰囲気があります。

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