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しまねの自然スポット

出雲地方・隠岐地方

■横見埋没林(出雲市)

横見埋没林

写真1.発見直後の立木。太さは50cm程度までで、大部分の立木が北側に傾いて発見された。一方向に傾いている理由として、ベースサージで幹の上部が失われた時、その爆風によって押された可能性が推定された。

 横見埋没林は出雲市佐田町下橋波にある約5万年前の埋没林です。現在よりも冷涼な気候を示すカエデなどの広葉樹が22本確認されており、最終氷期中に中国山地の北側の丘陵地帯に広がっていた森林の様子を物語る資料になっています。
埋没林は三瓶火山の第2活動期の噴出物に覆われています。降下火山灰によって樹木が2m程度の深さまで埋もれた後、「ベースサージ」という噴火に伴う爆風で幹の上部が失われ、ベースサージ堆積物の上を火砕流堆積物が厚く覆うという関係が観察されており、三瓶火山のカルデラを形成した巨大噴火の過程を示す証拠にもなります。

 この埋没林は、2003年に農道の工事中に確認され、現在は発見地に隣接してガイダンス施設が整備されており、標本を見ることができます。

横見埋没林

写真2.神戸川右岸の河岸段丘面と山地斜面の境界上を通る農道を整備するため、斜面部分を掘削していた時に埋没林が確認された。農道工事を行った建設業者は、三瓶小豆原埋没林の発見から調査に関わった経験があり、すぐに立木の意味に気づいたことが発見につながった。

横見埋没林

写真3.発見地から西側を見たところ。発見地の西を神戸川が蛇行して流れている。

横見埋没林

写真4.立木の1本。頭の部分だけが出てきた状態。

横見埋没林

写真5.立木の一本。この立木が最大径のもの。

横見埋没林

写真6.立木の一本と背後の火山灰の地層。

横見埋没林

写真7.立木が根を張っている古土壌の下にある三瓶火山第1活動期の噴出物。火山豆石が多く含まれ、写真の削った面の丸い文様は火山豆石の断面。

横見埋没林

写真8.立木を埋めた地層の中を貫いて脈状に貫入した三瓶火山第1活動期の噴出物。第1活動期の噴出物は、大田市、美郷町の各所でも同じように第2活動期の火砕流堆積物に貫入している。第2活動期中に大きな地震が発生した可能性が考えられ、カルデラ形成に伴う現象を物語るものかも知れない。

横見埋没林

写真9.くっきりした色の違いは地層の境ではない。酸化、還元の条件の違いによって色が変わったもの。写真6で見えるように、立木の周囲を取り巻くように還元的な環境を示す青灰色の部分があり、立木の周囲では酸化還元の条件が周辺と異なっていることがわかる。

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