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■浄善寺の大銀杏

大田市三瓶町池田の浄善寺の大銀杏。秋の黄葉風景。

 三瓶山の西にあたる大田市三瓶町池田の浄善寺境内にそびえるイチョウの巨木で、樹齢600年以上と推定されています。
 根元近くから扇形に幹わかれした樹形が特徴で、樹高30mに達する高さだけでなく横への広がりがあり、森のような迫力を持ちます。例年、11月中旬から下旬に黄葉し、この時期には多くの見物客が訪れます。

 イチョウがある浄善寺は、明治時代の初めまでは現在地の北西300mの場所にあり、1872(明治5)年の浜田地震によって倒壊し、現在地に移転しました。本堂のふすまには大田市出身の画家である田平玉華(1878〜1923年)により火山が描かれ、当時の住職が災害の脅威を住民に伝えるために浅間山の噴火を実際に見たことがある玉華にこの絵を描いてもらったそうです。

大銀杏への注目

 イチョウの古木として専門家や巨樹巨木の調査では以前から知られていたこのイチョウですが、2010年頃までは地元大田市でもあまり知られておらず、黄葉時期でもたまに見物客が訪れる程度でした。

 このイチョウが広く知られるようになったきっかけは、広島県の「巨木を訪ねる会」が2009年にここを訪問したことだったと思われます。
 巨木を訪ねる会は、広島市から日帰り圏内の巨樹巨木を定期的に訪問し、木を見るだけでなく現地の人に会うことを通じてその土地を知ることを意図したグループでした。

 この会が浄善寺のイチョウを訪れた時、地元側の関係者が同行し巨木を見慣れているメンバーが驚きの声をあげる様子を目の当たりにし、この木が訪問するに値するものであることに気づかされました。
 その後、県、市の広報物でこの木が何度か取り上げられ、新聞コラムなどでも紹介されると報道が取材に訪れるようになり、この時期を境に見物客が増加しはじめました。

 三瓶町池田の住民も盛り上がり、黄葉時期にライトアップをはじめるとさらに注目が高まり、見物客数も急増しました。よその人の視点が地元に気づきをもたらし、地域の資源に注目が集まった好例です。
 この気づきをもたらしてくれた「巨木を訪ねる会」への感謝の思いをこめて、ここに経緯を記しておきます。

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