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■温泉津町清水の岩海

温泉津町清水の岩海

 温泉津町清水地区は、石見銀山と温泉津の港をつなぐ「石見銀山街道温泉津・沖泊道」の途中にあり、近世から近代には多くの人と荷物が行き来して栄えた地域です。

 清水地区には家屋や田畑の周辺に巨岩が点在し、山ぎわの林内には岩海の光景が広がります。「石ごうろ」とも呼ばれる岩海は、石見銀山が最盛期にさしかかっていた1539年に発生した巨大な崖崩れによってできたものです。

 伝承によると、旧暦8月4日に台風による大雨が降ったことで、清水地区の背後に迫る堂床山が山体崩壊を起こしてその土砂が谷を埋め尽くしました。巨岩がある一帯は谷を埋めた土砂が作る地形で、崩落してきた土砂がそのまま堆積することで形成された緩やかな起伏が認められ、窪地にできた「ようこつ池」という浅い池もあります。この池の底には崩落でなぎ倒されたスギの巨木が埋もれていると言われます。

 崩落した堂床山は大江高山火山の火山体のひとつで、デイサイト溶岩でできた溶岩円頂丘です。火山体は岩盤に亀裂が多く、しばしば大きな山体崩壊を起こすことが知られています。

温泉津町清水の岩海と清水集落

清水地区には家屋や田畑の周りにも巨岩が点在しており、岩の間をぬって道路が通っている場所もあります。

 清水地区を通る石見銀山街道は、このルートの中で近世から近代の面影を最もよく留めている場所です。山陰自動車道と国道9号線がトンネルで抜ける上を街道が通っており、この部分では切り石で整備した石段や、小さな鞍部に土盛りをして作った土橋がよく残っています。切り石には凝灰岩が使われており、道の脇に石切場の跡があることから現地調達したことがわかります。

清水地区の山を抜ける石見銀山街道と石切場の跡

清水地区の山を抜ける石見銀山街道と石切場の跡。切り石で整備された階段は、現地で採れる凝灰岩が使われており、道の脇に石切場が残っています。

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