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■波根西の珪化木

波根西の珪化木

 波根西の珪化木は大型の樹木化石で、太さ約1m,長さ5m(埋没部も含めると10m以上)の化石が波打ち際の崖面から突き出て海底に続く形で露出しています。付近の海中にも多数の珪化木があり、海域も含めて「波根西の珪化木」として天然記念物(国)に指定されてます(指定年1936年)。階段や手すりが整備されており、すぐ近くまで近づくことができます。

 この珪化木(群)は、約1500万〜1300万年前の火山活動に関係して押し倒されて地層中に埋もれたものです。この時代(新生代新第三紀中新世)は、日本海が開いて日本列島の原型が形成された時代にあたり、海中や海岸付近で活発な火山活動が発生しました。珪化木が埋まっている地層は火山活動によって発生した土石流の堆積物です。火山岩の角礫を主体とする火山角礫岩で、円礫やある程度角が取れた亜円礫〜亜角礫を含むことから土石流と判断できます。

 なお、珪化木を含む地層の直下には白色の軽石を多く含む火山角礫岩があり、上写真の右側でその地層を見ることができます。地層境界はやや不明瞭ですが、下の地層は角礫のみで樹木片が炭化していることから火砕流の堆積物と判断できます。

珪化木とは
珪化木は樹木の成分が二酸化ケイ素の鉱物で置き換えられたものです。樹木の形は残していますが炭素の大部分は失われて、「ぎょくずい(メノウ)」や「たんぱく石(オパール)」、「石英」の集合体になっています。

波根西の珪化木

波根西の珪化木を含んでいる地層。暗色の礫は安山岩礫、白色の礫は軽石で、少し角がとれた礫も認められます。ときおり良く円摩された円礫を含み、土石流が流下する時に谷底にあった礫を取り込んだものと考えられます。

久手小学校の珪化木

大田市立久手小学校の校庭にある大型の珪化木。

 波根西の珪化木として天然記念物に指定されている範囲以外にも、久手町の海岸の海中には多数の珪化木があると推定されます。

 昭和初期に、久手港の建設工事が行われた際には、大小多数の珪化木が海底から引き上げられ、そのひとつが上の写真の珪化木です。これもかなり大きなもので幹径が1.5m前後に達します。年輪の痕跡が明瞭に残り、キリの仲間と推定されています。

 ほかにも、久手駅に珪化木が置かれているなど、民家の庭などに置かれていることがあります。

波根西の珪化木ガイド用資料→PDFを開く

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